人生をともにする物語
第四回 コロナ禍での
新婚旅行
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毎日、多くのお客様をお迎えする中の坊。お客様一人ひとりに今日ここに来られた意味があり、そこには人生の物語があります。その一つひとつに寄り添い、物語の一ページに花を添えるのが私たちの使命です。大きな責任と使命を胸に、私たちは今日もお客様をお迎えします。
不安で一杯の旅が
最後はうれし涙に
私と夫が新婚旅行で有馬を訪れたのは二〇二〇年十二月のこと。もともとはハワイへ行く予定だったのですが、コロナの影響でキャンセルになり、行き先を関西へ変更。大阪と京都を巡り、最後の二日間を有馬グランドホテルで過ごさせていただきました。日本全体を覆う自粛ムード。それに加え、私のお腹の中には当時四ヶ月になる赤ちゃんがいたこともあり、緊張感を抱えながらの旅となりました。大阪ではテーマパークを満喫し、京都では名所を観光。計画通りの旅を満喫しながらも、どこかリラックスできないまま有馬グランドホテルを訪れました。
そこで感動したのは、スタッフのみなさんが温かく迎え入れてくださったことです。まるで我が家のような温かみのあるお出迎えに緊張の糸が一瞬でほぐれました。中でも、この旅が私たちにとってかけがえのないものになったのは、客室係として私たちのお部屋を担当してくださった芦田さんのおかげ。妊婦である私が安心してお料理をいただけるようにメニューを調整したり、食材について詳しく説明してくださるなど、彼女の細やかな心配りがあったからこそ心から楽しむことができました。さらに感動したのは、ホテルを発つときに芦田さんが自筆のメッセージカードをくださったこと。私たち二人は、心温まるメッセージに思わず涙しました。
この一生の思い出は、日本で、そして有馬グランドホテルでなければ得られなかったもの。コロナが終息したら、今度は三人で訪れようと思います。