美を紡ぐ調度品 第一回
中央館シャンデリア

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ご宿泊いただくたびに、新しい発見がある。お客様の一期一会の日々を大切にするために、常に新しい表情でお迎えしたいと考えています。館内の調度品においても有馬にゆかりのあるものをモチーフにオーダーメイド。細部にいたるこだわりも、私たちが考えるおもてなしのひとつです。

コブシの花に込められた、
復興への願い。

ロビーに輝く、満開のコブシ。有馬の里に春を告げるコブシの花をモチーフにしたシャンデリアは、中央館(旧一号館)のリニューアルオープンにあたって誂えられた特注品である。

一号館が中央館として新たに生まれ変わったのは、1997年8月8日のこと。その二年半前の1995年1月17日には、阪神・淡路大震災が発生。当時、有馬グランドホテルは増築工事を行っており、壁の一部を取り払っていた。そのため、地下の柱が破損するなど、半壊の被害を受けた。以降は、辛うじて被害を免れた東館のみで営業。復興に尽力される工事関係のお客様を迎え入れる日々が続いた。再建には、数年かかる。先の見えない苦しい日々が続くなか、下を向く従業員は誰一人としていなかった。

「スマイルでトップを目指そう中の坊」。従業員一同でスローガンを考え、全員がそれを胸に再出発に向けて取り組んだ。 有馬では、コブシの花が満開になった年は、商売が繁盛するという言い伝えがある。もう一度、お客様で賑わう有馬を取り戻したい。そんな復興への願いを込めて、コブシのシャンデリアは創られた。 新型コロナにより、阪神・淡路大震災以来の危機に見舞われた有馬。

振り返ってみれば、今年の春はコブシの花にも元気がなかったように思う。来年の春は、満開のコブシで有馬三山が白く埋め尽くされることを願って。



中央館のためにデザインされたシャンデリア。震災からの復興と新たな出発を表現しています。